宗像宣言

宗像宣言 平成28年(2016年)

宗像の島や渚を洗う対馬暖流。はるか赤道近くからこの地宗像に流れてくる水は、沿岸の自然条件や人々の暮らしの影響を受けながら、はるばるこの地にやってきます。

宗像では、ぐるりとあたりを見回すと、緑の山々の頂きが見えます。この分水嶺からの水は泉として湧き出て、釣川の流れへと集まり、人々の生活を支えてきました。そして、その水は玄界灘に注がれて、対馬暖流と出会い、海の恵みも育んできました。この宗像は、実に住みやすく、自然の恵みを享受しやすい地なのです。

古来より守られてきた聖地、沖ノ島は玄界灘沿岸の生物多様性が凝縮され、今に保たれています。対馬海流は、いくつもの海峡を経て太平洋に出て、世界につながっています。しかし宗像に恵みをもたらしてくれた壮大な水の循環が、陸から出たゴミを運んで拡散させることになるなど、想像できたでしょうか。

私たちは、島や渚のフィールドワークを通じて、私たちを育んできた海が、実に身近なところからでも、危機に陥っていることがわかりました。海からの警鐘に耳を傾け、未来を考えていくため、次のことを宣言します。

1、温暖化と磯焼けについて

宗像における温暖化は著しく、今年の夏の海水温度は30度にまで上昇、海水は温泉のようになり、海草藻や魚介類も減少する磯焼けが起き、魚種も変わりつつあります。そのため藻場の再生は早急の課題であり、解決すべき問題です。

宗像では民間レベルでの藻場再生のための漁礁づくりを『海の鎮守の森構想』と名付け、取り組んでいますが、これからはこのような活動が国内外においても広がっていくことを強く望んでいます。

2、海のゴミ問題について

海外と海とつながっている宗像は、近年では隣国からも大量の漂着ゴミが押し寄せ、大勢のボランティアによる海辺のゴミ清掃が執り行われています。さらに今日ではプラスチックゴミがマイクロプラスチックとなり、魚がそれを食べはじめ、人体への影響も心配されています。ゴミ問題はそもそも捨てなければ解決されることです。そのため海辺の活動を通して、ゴミの不当投棄問題を国際世論に訴えていきます。

地球の七割を占める海の急激な環境の変化は、近年の異常気象に大きく影響していると考えられます。そのため海の生態系を取り戻すことは極めて重要であり、早急に取り組むべき課題です。海には国境がないため国際的な連携が求められます。しかし私たちは、先ずは足元の宗像の海を再生することによって、これを国際活動の一助に繋げていきます。

平成28年8月21日 宗像国際環境100人会議 参加者一同

From the Forests, Rivers, Countryside and Oceans of Munakata to the World

Munakata Declaration 2016

Tsushima Warm Current washes the islands and beaches of Munakata. Water from the equatorial zone affected by natural conditions of the seacoast and people’s livelihood flows into the area of Munakata.

Munakata is surrounded by green summits of mountains. Water from the springs flow into Tsurikawa River and supports the lives of locals.

The water continues its flow into the Genkai Sea and eventually meets Tsushima Warm Current which brings us ocean bounties.

The land of Munakata is livable and blessed with nature.

The sacred island Okinoshima has been protected from the ancient times which resulted in conserving the biodiversity of the coasts of Genkai Sea. Tsushima Current passes through several straits before flowing into the Pacific Ocean and connected to the world.

However, who would have imagined that this magnificent circulation of water which brought blessings to Munakata would spread the litters from the land?

Through fieldworks at the islands and beaches, we learned that our ocean is in danger. To listen to the warnings from the ocean and think about our future, we declare as follows.

1. Global Warming and Sea Desertification

Global warming in Munakata is increasing rapidly. This year’s seawater temperature increased up to 30℃. Sea desertification has decreased the numbers of seaweeds and fishes, resulting in changing the fish species. Regeneration of seagrass bed requires immediate attention.

Munakata has started a fish reef project for the regeneration of seagrass on a private level and named it “Village Shrine Grove of the Ocean Initiative”. It is our strong hope to spread this action locally and throughout the world.

2. Marine Litter

Munakata is connected with overseas countries by the ocean. In recent years, enormous quantities of marine litters from neighbour countries are washed ashore and cleaning activities are carried out by volunteers. Plastic litters become micro plastics. Fish will eat them and the effects on human bodies are feared. This problem can be solved by not littering. We will continue our activities and appeal the illegal dumping of wastes to the international opinion.

The ocean which comprises 70% of the planet is changing rapidly. This is considered to be caused by recent abnormal weather. To bring back the ecosystem in the ocean is extremely important and requires immediate attention. The ocean does not have any borders and needs international cooperation.

We will start our first step of international activity by recovering our own oceans of Munakata.

August 21, 2016

MUNAKATA Eco-100 International Symposium

山本公一環境大臣「宗像宣言 平成28年」 平成28年10月5日

宗像宣言 平成29年(2017年)

地球環境問題が深刻化する中、宗像国際環境100人会議では、今日の地球環境を把握するため、「南極」「PM2.5」「マイクロプラスチック」の取材に関わったジャーナリストからの情報を共有し、人類が引き起こしてきた環境破壊の実態をあらためて認識した。

ここ宗像の地は森里川海にも神々が宿るとして、畏怖畏敬の念をもって自然と共に生きてきたが、近年の地球規模による環境破壊により、この豊かなる地においても目に見える変化が生じはじめている。

特に宗像三女神を護ってきた宗像海人族の末裔たちの海では、温暖化による海水温の上昇により魚種が変化し、磯焼けが起こり、さらに大気汚染によって海そのものも汚れつつある。

私たちはこのような状況から少しでも脱却するため、「海の鎮守の森構想」を掲げ、学識者や実践家をはじめ地元漁業従事者及び子供たちとともに、昨年より竹漁礁を海に沈め、海辺の漂着ゴミ拾いなどを実践しているが、今日の環境の変化はさらにスピードを増し、早急なる対応が必要との結論に至った。

国際社会における地球環境問の認識は深まりつつあるものの、未だに一時的な事象との世論があることは否めない。しかし宗像の海の環境は明らかに悪化の一途を辿っている上に、海には国境がないため国際的な連携が必要とされるが、そのためには先ずは個々の価値観の転換からはじめなければならない。

奇しくも宗像においては、本年10月29日、第37回全国豊かな海づくり大会が開催される。水産資源の保全と改善を目的とした本大会は、海洋国家としての素晴らしい取り組みである上に、宗像国際環境100人会議においては、これを契機に「海の鎮守の森構想」をさらに進めることによって、国内外にこの活動の輪を広げてゆくことをここに宣言する。

平成29年8月27日 第4回 宗像国際環境100人会議参加者一同

中川雅治環境大臣「宗像宣言 平成29年」 平成29年9月14日

宗像宣言 平成30年(2018年)

昨年、世界文化遺産に登録された、『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群は、古代より海の信仰が息づく地域であるが、近年その海が著しく変化し、漁業に携わる人々は海の生態系の変化などにより、限界に達しているとの声もあがっている。

今年、第5回目となる宗像国際環境100人会議では、「水と命の循環~自然への感謝と畏怖」をテーマに、なぜ、持続可能か?について3日間の議論を重ねた。頻発する豪雨、温暖化の影響による農作物の影響、マイクロプラスチックの問題などを共有し、人間の利便性のもとに、日本の村々にあった循環型社会をわずか半世紀で大きく変容ささせてしまったことを再認識した。

かつての日本は日本神話の海幸山幸にもあるように、山の民と海の民は補完しながら、畏怖畏敬の念で豊かな海と山を育んでいた。しかし、経済を中心とした今日の大量生産多量消費は、わずか百年という短い時間で国々、地球を大きく変えてしまった。そして、その対応は急がなければならない。

グローバル化という名のもとに地球規模で失われてきた地域や国々の多様性、循環系を取り戻すためには、かつて貨幣経済と米や海産物などで循環型社会を維持していたローカルな仕組みを基礎とした社会を目指すべきではないか。

私たちは、ここ宗像の地で、先人たちの声に耳を傾け、環境と社会と経済とが共存し、慈しみや、優しさにあふれた環境・生命文明社会の実現を目指すことを宣言する。

平成30年8月26日 第5回宗像国際環境100人会議参加者一同

学生宣言

『海を耕せ』。これは、長崎大学名誉教授の中田英昭氏が私たち学生に宛てたメッセージである。 海を耕すというイメージは湧きづらいが、地球表面の7割を占める海を知り、次世代へ豊かな海を残していくことがこれからの世の中を生きてゆく私たち『WAKOUDO』の使命であるということを教えてくれた。

現在の便利で豊かだと錯覚している生活の裏側には、必ず影響を被る自然がある。そのことに対して私たち人間はあまりにも無関心ではないだろうか。海の生き物も同じ地球に生きる仲間。その環の中で生かされているのは私たち人間の方。あの海岸ゴミに込められた命への問いかけにどうしたら答えることができるのだろうか。海からの視点で私たちの暮らしを考え直す必要がある。

私たち学生一同は、豊かな海を次世代に繋げていくために、現在行われている魚礁設置や海ゴミの回収活動等を継続する。また、調査を行って得た結果を積極的に発信するほか、学校の授業で体験型の環境教育を行うことで海の環境問題への関心を広げ、活動の輪を広げていくことで次世代へと引き継ぐことができる「持続可能な環境活動」を行うことを、ここに宣言する。

平成30年8月25日 第5回 宗像国際環境100人会議 学生分科会 参加者一同

中川雅治環境大臣「宗像宣言 平成30年」 平成30年9月28日